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深夜 真紅「すー…」 翠「くー…くー…」 雛「すやすや…」 ゾルッ 雪「…フフフ…桃薔薇お姉さま…どぉこだ?」 ガチャッ 雛「んにゅ……?誰…?」 雪「…みぃつけた…」 朝 翠「チビ苺ったら…何処にいったんでしょうかねぇ…?」 真紅「(……この白い薔薇の花びらは…)」 雛「第7…ドール?」 雪「第7ドールは幻の中にしか存在しない。なぜなら私もまたうんたらかんたら」 雛「…」 雪「だから、あなたの体をもらtt」 雛「ヒナが貰うのー」 雪「へっ?」 むちゅー(雛からキス) 雪「な、ななな何するの!?」 雛「ヒナは食べられるより食べる方が大好きなのよ」 雪「ちょ、やめ…!」 いきなりの展開で押し倒される雪華綺晶 雛「雪華綺晶のうにゅーも食べ応えありそうなのー。いただきまーす!」 雪「い、いや、ああぁぁぁ・・・」 次の日。 紅「誰なのそのドールは?」 雛「きらきーなのよー。それでヒナのペットなのー」 雪「苺お姉さま…(メロメロ)」
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「貴方も結構苦労してるんですねぇ」 マスターに写真を渡しながら、ブーメランパンツ一枚のラプラスが僕に向かって呟いた。…なんでブーメランパンツなんだ… 「どうでもいいけどさあ、お前のそれは何なの?」 マスターも僕と同じことを思っていたらしい。 「趣味です」 さらりと返すラプラス。 「…えぇ?」 マスターが呆れたような声を出すと、ラプラスが続ける。 「ですから、趣味なんですよ。どうですこの肉体美」 「………………死ねばいいのに……………………………」 ポーズをとるラプラスに、蔑むような目でマスターが吐き捨てた。 「ちょっ…それは酷くないですか」 「悪かった悪かった。死ななくてもいいや。…死ぬ価値もないや」 二度目の暴言にうなだれるラプラス。…マスターって結構毒舌家なんだなあ… 「で、頼みなんですが」 雪華綺晶が突然切り出した。ちなみに、彼女も下着姿だ。 「え?勝ったのに?」 「もちろん。脅迫するのは諦めましたが、頼むのは諦めていませんので」 嘯く雪華綺晶。それを聞いたマスターが雪華綺晶に問う。 「…今度は泣き落としとかか?」 「ええ、ここで私が涙ながらに哀願すれば、優しそうな貴方のことです、断れるはずが…」 「…そういうのは秘密にしておいた方がいいぞ」 …金糸雀?いよいよ雪華綺晶のキャラが分からなくなってきた… 「…はっ!?い、今のは忘れてくださいぃ!」 雪華綺晶はあせって、マスターに頼み込む。 「えぇ~」 「忘れてくださいってぇ!」 「ったくもう…で?頼みって何?」 渋りつつも話を聞くことにしたらしいマスター。そんなマスターに、おずおずと話し始める雪華綺晶。 「あの~…できたら私たちも修学旅行に連れてってくれたら嬉しいな~って…」 「蒼、ちょっと待っててくれな。服買ってくるから」 マスターはそういって雪華綺晶の頼みなどなかったかのように外に出ようとする。 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!連れてってくださいって!」 外に出ようとするマスターにすがりついて哀願する雪華綺晶。…もしかしてこれが『泣き落とし』? 「あれ、なんか歩きにくいなあ」 …マスターは相手にしようともしない… 「お、お願いです!連れてってくれるだけでいいですから!迷惑はかけませんからぁ!」 「無理だな。バスはもう定員オーバーだ」 「じゃ、じゃあバスじゃなくていいですから!バスの屋根でもかまいませんからぁぁ!」 「バスの屋根はバスじゃないのか。はじめて知った」 「あうぅぅぅぅ………」 あくまでけんもほろろなマスター。雪華綺晶はついに俯いてしまった。目に涙がたまっている… 「マスター、雪華綺晶がかわいそうだよ…連れてってあげようよ……」 …つい弁護しちゃった…仕方ないよね、なんだかんだ言って妹だもの… 「ぬぅ…蒼星石がそう言うなら」 なぜか、マスターはわりとすんなりと受け入れた。…受け入れるタイミングを失ってたのかな? 「つ、連れてってくれるんですか!?」 「ああ、蒼星石に感謝しろよ?」 「あ、ありがとうございますぅっ!!」 い、いや、そんなに感謝されても困るんだけど…… 「これからは貴方のことをお姉様とy」 「さーくんくん見に行くぞー」 雪華綺晶の不穏な提案を断ち切って、マスターは外へと向かっていく。 「あっ、ラプラスを連れて行かないと…」 「ん?ああ」 マスターはさっきからずっと落ち込んでいるラプラスに声をかけた。 「おい、早く立ち直れよ。さっきのは本気じゃないから」 「え?」 「きらきーがお前も連れてってやれっていうからよ。…し、仕方なくなんだからねっ!勘違いしないでよっ!?」 「…はいっ!」 「ちょwwwそういうイノセンスな目で見るなァァァ!」 …そんな二人の珍妙なやりとりを見て、雪華綺晶が僕に聞いて来た。 「…あの人っていつもあんな感じなんですか?」 「いや…いつもはもっとまともなんだけど……多分、久しぶりの帰郷でハイになってるんじゃないかな」 「…最高に『ハイ!』ってやつなんですね?」 「うん…北海道の気候がよくなじむんじゃないかな」 「…5年前引っ越してからこれほどまでに絶好調のハレバレとした気分はなかったりするんですかねぇ」 「かもね…」 こっちはこっちで妙な会話を繰り広げているような… 「おーい。行かないのかー?」 僕たちが妙な会話を繰り広げていると、既に外に出たマスターが声をかけてきた。 「マスター、僕たちはまだ行けないんだよ?」 「へ?何で?」 …この人は自分がやった事を覚えていないんだろうか… 「「「…服がないからに決まってるでしょ」」」 「サーセンwwwすぐ買ってきますwwwww」 そう言うとマスターは走って行き、本当にすぐに三人分の服を買ってきた。 「サイズ合ってるか分からないけど、まあ大丈夫だろ」 僕たちに買ってきた服を渡しながらマスターは言う。 「わ、すごい!マスター、サイズぴったりだよ!」 「あったりまえだろ、いつも蒼の事ばかり見てるんだから」 「もう…マスターったら…」 ああ、幸せだなあ… そんなことを考えていると、雪華綺晶が困惑顔でマスターに訊ねた。 「あの…じゃあ何で私のは…」 「ん?いや、多分蒼と同じぐらいだろうと思ってさ」 「ああ、そうでしたか…安心しましたよ、私のこともいつも見てるのかと思いました」 さらりと返したマスターに、さき無視された恨みだろうか、とげとげしい言葉をかける雪華綺晶。 しかしマスターも負けてはいない。 「はは、安心しろ。頼まれても見ねぇからよ」 「…ひどいですね…女性にそんなこと言って楽しいんですか?」 「まあ、相手によっては」 「…その相手っていうのは私ですか?」 「ふふ、何言ってんだよ。他に誰もいないだろ?」 「………」 度重なるマスターの毒舌に、雪華綺晶は俯いてしまった…マスター、女の子にはもっと優しくしてあげなよ… 「ところで、何で私の服はこんなに小さいんでしょうかね? そんなことを思っていると、突然、さっきまで黙っていたラプラスが言った。 「あ?ああ、別に何も考えないで買ったからだ。悪いな。…ってか早く『白崎』になれよ」 「はいはい。…これでいいっすかね?」 そう言うと、ラプラスの顔が『白崎さん』の顔になった。…何でこんなに突然言葉遣いが変わるんだろう… 「ん?ああ、いいんじゃねーの」 「…何でそんな適当なの?」 「正直君の事なんてどうでもいいから」 「………」 …どうもさっきからマスターの様子がおかしいので、僕は思い切ってマスターに聞いてみた。 「…マスター、なんかいらいらしてない?どうしたの?」 「いや、いらいらしてなんかいないさ。…ちょっと欲求不満を解消してるだけだ」 …欲求不満? 「さ、さー早くくんくん見に行こーぜー。早く行かないと始まっちゃうぞー」 何の話なのか聞こうと思ったけど、マスターにうまくごまかされてしまった。すると、立ち直ったらしい雪華綺晶が叫ぶ。 「ま、待ってください!私達も行きます!」 「おう、早く来いよ。…二人とも、さっきはごめんな。俺Sだからつい楽しくなっちゃって」 …え? え、S?マスターが? …じゃあやっぱり、僕もそれなりの…あの…『役』をやらないとだめなのかな… 「い、いや、そういうのを蒼に求めてるわけじゃないぞ?さっきはちょっと魔がさしただけであって…」 僕の視線に気づいたらしいマスターは、まずいことを言ったとばかりにあわてて弁明した。 次へ 前へ
https://w.atwiki.jp/ao-ohanashi/pages/723.html
「そろそろ行かないと、間に合わなくなるな」 「うん、早く戻らないと」 しばらくして開演時間が迫ってきたので、僕達はここを出ることにした。 しかし、その時―― トイレの洗面所にあった大きな鏡が水面のように揺れ動いた。 「こりゃあ…」 「nのフィールド…!」 場に緊張が走り、身構える僕達。 そして、そこから出てきたのは―― 「…ここでいいんですね?」 「ええ、あってるはずですよ。…おや?貴方達は…」 ――こともあろうに、雪華綺晶とラプラスの魔のふたりだった。 「…ふるえるぞハートッ!燃えつきるほどヒートォッ!!」 「「「…へ?」」」 マスターが突然叫びだした。このフレーズは… 「おおおおおッ 刻むぞ血液のビートォォッ!!!」 「いや、あの、ちょっと、何です?」 「何!?なんですかこれ!?何でこの人叫んでるんですか!?」 二人とも明らかにうろたえている。まあ当たり前か… サンライトイエローオーバードライブ 「山吹き色の波紋疾走――ッ!!!!」 「ホゲューッ!」 マスターのストレートが綺麗に決まり、吹っ飛んで行くラプラス。そのセリフは違うような… この意味不明な状況が恐ろしいのか、雪華綺晶は彼女らしくもなくおびえている。 「い、いきなり何を!?」 「うるせえ!お前らがこの世にいなければ俺は騙されなかったんだ!死んで詫びろ!!」 滅茶苦茶な理由でラプラスをボコボコにするマスター。 「や、やめなよマスター…二人は何も悪くないんだから…」 「そ、そうです、今回は別に貴方達に危害を加えようとして来たわけではないんですよ」 「蒼星石……気を付けろ!信じるなよこいつの言葉を!」 「いや、ほんとに――」 「こいつはくせえーーッ!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜーーーーッ!!こんな策略家には出会ったことがねえほどなァーーーッ! 今回は危害を加えようとして来たわけではないだと?ちがうねッ!!こいつは産まれついての策略家だッ!蒼星石、早えとこ鋏で切り刻んじまいなッ!」 「切り刻んじまいなって…二人がかわいそうでしょ?とりあえず話だけでも聞いてあげようよ」 何で僕は二人を弁護してるんだろう… 「まあ、蒼星石がそう言うなら」 渋々承諾するマスター。 「…えーと、今回は…あのー…」 なぜか口ごもるラプラス。 「…かまいません、教えてあげてください…信じてもらうためですもの」 さっきまで隅でうずくまっていた雪華綺晶が言った。…何を教えるんだ? 「じゃあ言いますが、今回は彼女がくんくんショーを見たいと言っていたから、わざわざ北海道まできたんですよ。貴方達と遭う予定ではなかったんです」 「「…はい?」」 雪華綺晶は顔を真っ赤にして俯いている… 「どうも彼女が貴方の部屋に侵入したとき、DVDを見たそうなんですよ。それきり夢中でして」 がっくりと肩を落とすマスター。 「で、今日この辺でショーがあると聞いて…どうしました?」 「いやあ、まあ、その…」 一拍おいて、マスターが呟いた。 「…とりあえず、電気代払えよ?」 「嫌ですよ、今金欠なんです」 さらりと返すラプラス。 「…槐に給料もらってるだろうが」 「だから、それがもう無いんですよ」 「何に使ったんだ?」 「禁則事項です」 マスターが何度聞いてもラプラスは答えない。本当、何に使ったんだろ… 「そういえば、貴方達はなぜこんなところにいるんですか?」 突然話題を買えるラプラス。よほど給料の使いみちを言いたくないのだろうか。 「修学旅行だよ。蒼星石もドールズも――って、このセリフ今日二回目だな…」 「どんなところに行くんです?」 突然、さっきまで俯いていた雪華綺晶が聞いてきた。…心なしか必死な声色で。 「んぇ?そうだな…洞爺とか、函館とか、小樽とか、札幌とか…」 マスターの説明を聞いていた雪華綺晶の顔が、途端に明るくなる。…何? 「聞きました!?『とうや』『はこだて』『おたる』『さっぽろ』ですよ!?」 「ええ、わかりましたわかりました、わかりましたから頭をシェイクするのはやめてください」 わざわざ洗面台に登ってラプラスの頭を揺さぶる雪華綺晶。 「蒼星石のマスターさん、ちょっと頼みがあるのですが!」 「無理。全然無理。まったく無理。100%無理」 雪華綺晶の頼みを一蹴するマスター。頼みが何なのか聞こうともしない… 「えぇ!?聞いてくださいよ聞いてくださいよ聞いてくださいよ!!」 「あの、そろそろ脳震盪を起こしそうなのでやめてくれませんか?私はカマキリじゃないんで脳震盪起きるんですが」 普段の冷静さはどこへやら、雪華綺晶はラプラスの頭を揺さぶりながら叫ぶ。 「やだね。槐に関してはそれで失敗したんだ」 「…槐?」 「あ、いや、後で話すよ」 僕達がそんなやりとりをしていると、雪華綺晶が不敵な笑みを浮かべてラプラスに言った。 「しかたありませんね…ラプラス!『あれ』を使うのです!」 「ちょ、突然止めないで…リバースしちゃう」 あからさまに気分が悪そうなラプラス。 そのうち、見かねたマスターが肩を貸して便器まで連れて行った… 「あ゙~~~……お見苦しい所を゙…お見せしました…で、なんでしたっけ?」 すっかり胃の内容物を出し終えたラプラスは、雪華綺晶にさっきの命令の内容を問いただした。 「ですから、蒼星石のマスターさんに『あれ』を見せてあげてください」 「ああ、『あれ』ですか…はい」 マスターに『あれ』を突きつけるラプラス。マスターはそれを見て硬直する。 「貴様…なぜそんな写真を…」 「まあ、個人的にはこんな写真どうでもいいんですが…彼女の機嫌を損ねたくはありませんから、これを貴方に渡すわけにはいきませんね」 「てめぇ…」 二人がそんな言葉を交わしているときに、僕は雪華綺晶にあることを訊ねてみた。 「ねえ…あれって何の写真? 何が写ってるの?」 「さあ…私が見ようとしても、ラプラスが『精神衛生上よくない』とか言って見せてくれないので…」 …本当、何が写ってるんだろう… 「…ムカついて来たッ!なんでくそったれのラプラスのおかげで俺がおびえたり後悔したりしなくちゃあならないんだ!?『逆』じゃあないか!?」 突然、それまでラプラスと睨みあいを続けていたマスターが呟きだした。 「…はい?」 「―――おびえて逃げ回るのは、ラプラスッ!!きさまの方だァァーーーッ!!!」 「ぃえぇ!?」 絶叫するマスターと、それに動揺するラプラス。 「その写真をよこせ。もしくは捨てろ。今すぐに」 やけに冷静な声で要求するマスター。 「え~…じゃあ渡しm」 「だめですよ!ぜったいだめです!私はそれでマスターさんを脅迫して、あの要求を呑ませなければ…!」 すぐに写真を渡そうとしたラプラスを、隣の雪華綺晶が叱咤する。 「あぇ~…じゃあ…その…私は…」 ラプラスは二人の顔を交互に見て、額(?)に汗を浮かべながら、すり足で移動している。あっちは… 「ジョーs…いや、私には基本的な戦いの発想法がありましてね………そのなかにひとつだけ残された戦法がありました」 じりじりと出口の方に後ずさりする。 「…それは!『逃げr」 ドミネ・クオ・ヴァディス? 「―――『どこへ行かれるのですか?』おまえは、『磔刑』だーーーーーーッ!!!」 「アンギャアーーーーッ!!」 …いつの間にか回り込んでいたマスターが、出口に走り出したラプラスの顔にシャイニングウィザードを食らわせた… 「ああっ、この兎頭!何をやっているんですか!もし失敗したら梅岡先生呼びますからね!」 …三人ともキャラがおかしい。三人はもっと…こう…まあいいや。 「いや、でも、この人結構強いんですよ?」 「じゃあ貴方の力を使えばいいでしょう!?仮にもここはnのフィールドなんですから!何のために貴方を連れてきたと思ってるんです!頭の中まで兎なのですか!?」 …なんか雪華綺晶が翠星石に見えてきた… 「…では、僭越ながら。…ふふ、さっきまでのお返しですよ」 不敵な笑みを浮かべ、ラプラスが杖を振った。 「…!」 マスターの眼前に、たくさんの影が現れた。マスターが包み込まれていく。 「マスター!」 「大丈夫だ、心配な…!?」 影が形を成して行く。その形はさまざまだったが、人の形をしたものが多いようだった。 「な…これは…」 絶句して、膝をつくマスター。――突然、マスターの心から、記憶が流れ込んできた。 ――昔いじめられた相手。昔傷つけられた相手―― それが、影の正体らしかった。 「どうです?要求を呑む気になりましたか?」 壁に寄りかかって嘯くラプラス。それを聞いて、忘れていた敵意が呼び起こされる。 「…君が、マスターを傷つけるなら――」 人口精霊の名を呼び、鋏を呼び出す。 「僕は、君を断ち切る!」 「ほう…貴方ですか。よろしい、お相手しましょう」 僕は鋏を構え、ラプラスとの距離を測る。 ラプラスが雪華綺晶の方を見た、その一瞬の隙をついて、僕は一気に間合いをつめ―― 「蒼星石!!」 突然マスターが叫んだ。影の中から、右腕だけが出ている。 「マスター!?」 「蒼星石、鋏を貸してくれ!!!」 少し逡巡したが、すぐに思いなおした。 ――マスターの言うとおりにして、失敗したことはあった。でも―― ―――悪い結果になったことは、一度もない。 「受け取って、マスター!!」 僕が投げた鋏を、マスターの右腕がつかんだ。直後―― 「何!?」 影が切り裂かれ、中からマスターが現れる。 「…よく戻ってこれましたね。あれで精神が壊れてしまう者もいると言うのに」 意外そうなラプラスに、マスターは笑顔で答える。 「…昔の俺なら、あの幻影に屈したかも知れない。だがな、今の俺には心を許せる仲間たちがいる。愛している護るべき人がいる。 …『昔』にはそいつらはいない。『過去』に囚われていたら、そいつらに会えなくなっちまう。『現在』を見て、『未来』に進んで行かなくちゃな。 …ま、振り返るぐらいはするけどな」 「マスター…」 …精神の弱いところを衝かれると、簡単には立ち直れない。 ジュン君も水銀燈にそれをやられて、夢に囚われそうになったことがある。 その時はのりさんのおかげで助かったけど、もしのりさんがいなくてジュン君一人だったとしたら、囚われたままだったかもしれない。 マスターは、そんな危険なものをいとも簡単に、それも一人で断ち切ってしまった。 なんて、強い人なんだろう。 「あのさ、三人とも、言いにくいんだけどさぁ…」 マスターが突然何か言い出した。 「これで、シリアスパート終わりだから」 「「「…はい?」」」 何を言って… 「俺がさっき言ってたことは全部本当のことだ。それは紛れもない事実。だけどな…」 一拍おいて、マスターが嘯いた。 「…悲しいけどこれ、コメディなのよね」 みもふたもないことを… 「まあ、私としてはそっちの方がいいですけどね。さすがにさっきの空気だと要求も脅迫もしにくいですし」 雪華綺晶…君がさっき一言もしゃべってなかったのは、そういう理由があったからなんだね? 「…さあ、お仕置きの時間だよ、ベイビー」 僕の鋏を持って、凍りつくような笑顔を浮かべたまま、ラプラスの方ににじり寄っていくマスター。 「いやいや、いやいやいやいや。本当勘弁してくださいよちょっと」 マスターと同じ速度で後ずさりするラプラス。 そのまま少し睨みあいが続く。 ――最初に動いたのはラプラスだった。 「くっ…行け!」 その声にあわせて、さっきの影がマスターに襲い掛かる。 しかしマスターは鋏でそれを捌き、同時に二つの影を切断した。 両断され、崩れ落ちる二つの影。 「くそッッ」 やむなく、自ら剣を取ってマスターに討ちかかるラプラス。 しかし、それもマスターの鋏に難なく止められてしまう。 「バッ……バカなッッ!?」 「(中学時代)剣道部員、そんなヤワな斬撃じゃあ通用しないね……」 おもむろにマスターがラプラスに斬りかかる。 「部長の方がはるかにイイ打ち込みしてきたよ」 「~~~~~~~~~~ッッッ」 何とか持ちこたえ、後ろへ下がるラプラス。 マスターは更にラプラスとの間合いを詰めて斬りつける。 「つ……強いですねあの人」 「……」 「教えてやるよッッ!何で6人いるミーディアムの中で、俺だけがマスターと呼ばれているのかッッッ!!」 それは僕の個人的なことで…いいや、もう…… 「あ、あの構えはまさか『Papier・Schneiden・Handwerk』!」 突然妙な構えを取ったマスターをみて、何か知っているらしい雪華綺晶が叫ぶ。 「し、知っているんですか雷電!」 マスターと対峙していたラプラスが聞き返す。…雷電? 「ええ、『Papier・Schneiden・Handwerk』…それは喜楽亭おもちゃ(人名)が編み出し、柳家一兆が改良を重ね、初代林家正楽が完成させた技…! その技は鋏で物を破壊しながらも、同時に別の物を創造するといいます…!(出典・民明書房刊『まあ要するに紙切りのことです』より)」 …もう、何がなんだか……… 「…なら、それを受ければあとは私の物…!―――来いッ! 蒼星石のマスターッ!!」 「―――よい覚悟だ。死に物狂いで謳え雑念―――!」 ああ…もう……どうでもいいや……… 「――『Elefant』!『Delphin』!『Schmetterling』ッ!!」 マスターが叫びながらラプラスとすれ違う。 ――その直後、ラプラスのタキシードはバラバラにされていた。…よく見ると破片の一つ一つが象の形になっている。 「まったく、なにをやって……っ!?」 「……っっ!?」 ――――同時に、僕らの服も。 …ちなみに、雪華綺晶の服の破片はイルカの形に、僕の服の破片は蝶の形に切られていた。 「くぅっ…対峙していたラプラスの服だけではなく、離れたところにいた私達の服まで切り裂くとは… その上、破片を動物の形に…完敗です。その写真、持って行きなさいっ…!」 「ちょ、ちょっと待ってよ!二人はともかく、何で僕の服まで…」 僕がそう問いただすと、マスターは少しあせりながら答えた。 「え?あの、えーと、あれだ… …き、君の裸が見たかったからさ☆」 「……………………」 もう、怒る気にもならない……… 下着を残したのは良心の呵責によるものだろうか…… 次へ 前へ
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Story ID n2cIVxsiO 氏(155th take) 水銀燈「丘の上で、一人座って、古ぼけた娘が」 真紅「なんとなく予想がつくのだわ。蒼星石…貴女は『水銀燈が歌っている理由は、実写版どろろが駄作だったからさ』と言うのだわ」 蒼星石「水銀燈が歌っている理由は、実写版どろろが駄作だったからさ。ハッ!」 短編連作SS保管庫へ
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ローゼンメイデンに関する造形物 ローゼンメイデンに関する造形物を扱うページです。画像などデジタルな造形物も扱います。 ローゼンメイデンはその人気に加え、ドールを中心に描かれた物語であることもあり、立体造形物を中心に多くの造形物が作られている。特にフィギュアやドール、ガレージキットの作品数の多さには目を見張るものがあり、集英社移籍によって版権が下りなくなる前は多数の作品が作られていた。そのほか2ちゃんねるのニュー速VIP板などでは、しばしばローゼンメイデンを描くスレが立てられている。 シャイニングウィザード@沢近 ローゼンメイデンものを手がけるガレージキットディーラー。 どの作品をとっても非常にクオリティが高く、その造形美や躍動感は特筆に値する。 GA Graphic シャイニングウィザード@沢近の「ローゼン」真紅・眠りの姫 GA Graphic WF「ローゼンメイデン」特集! シャイニングウィザード@沢近の翠星石&蒼星石 GA Graphicより同ディーラーの雪華綺晶 スーパードルフィー ボークスによって製造、販売されているレジンキャスト製の球体関節人形。同時に同社の登録商標でもある。SDと略されることもある。姉妹商品としてドルフィードリーム。ローゼンメイデンとのコラボレーションモデルが発売されており、現在までに真紅、翠星石、蒼星石、水銀燈、雛苺の5体が数量限定で発売された。 スーパードルフィーはこれまで何度か映画やアニメなどとのコラボレーションモデルが発売されているが、ローゼンメイデンはその中でも最も多くのモデルが発売されている。 スーパードルフィー|ボークスウェブサイト ドルフィードリーム|ボークスウェブサイト ドルフィー・ドリームでローゼンメイデンを創られているサイト Dridoller 手書きイラスト ヤフーオークションにはローゼンメイデンの創作イラストが多数出品されている。 1万円以上の値を付ける作品も珍しくなく、過去に50万円以上の値が付いた作品もあった。油絵や切り絵なども見られる。 ヤフオクウォッチ ローゼンメイデン水銀燈のとんでもない高額なイラスト Yahoo!オークションにおける現在のイラストの出品状況 ポケットモンスターFireRed 主人公銀さま&翠星石パッチ ニコニコ動画を中心に進められている萌えっ娘もんすたぁシリーズに、主人公を水銀燈にするパッチと翠星石にするパッチがある。 グラフィックのほかライバルやセリフなどもそれに応じて変化している。DLは以下にあげたサイトから行ってほしい。主人公翠星石パッチは主人公銀さまパッチに同梱されているようだ。 萌えっ娘もんすたぁまとめ ワンダーフェスティバル2008冬ワンダーショウケース ワンダーフェスティバル2008冬では、ワンダーショウケースの作品の一つに桜前線の間崎祐介氏の『ローゼンメイデン シリーズ』が選ばれている。ドールズが一堂に会している構図で、その造形もさることながら、パーツ数120という非常にパーツ数の多いキットとなっている。 ワンダーフェスティバル2008冬 Wonder Showcase GA Graphic ワンダーショーケース第17期アーティスト作品がWF会場に!!
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Story ID 1346x5RFO 氏(201st take) 「好き好き大好き愛してるっ」 Lyrics 靄 氏 雛苺「すーすー」 水銀燈「あらあら、雛苺ったら眠っちゃってるわぁ。やっぱりちょっと幼いわねぇ、この娘。あらっ、これって母性本能ぅ~あたしらしくないわぁ~。」 水銀燈「…………このピンクのメモ帳開きっぱなしだわぁ~。不用心ねぇ、どれどれ…………」 私を愛して 貴方を生かす 生きてよ私の血肉となって 指の先から滴る汁を赤子のように貪る口付け 真っ赤な舌を絡ませて 貴方の涎を余さずに 渇きを潤したいならば 悶える貴方の躯を感じ 真っ赤な証に吸い付きましょう 貴方の確な命の味を 私の命に絡めて絞めて 後日、 サタニックエンペラーからオファーが来たらしい。 「好き好き大好き愛してるっ」 綴 雛苺 曲 雪華綺晶 私を愛して 貴方を生かす 生きてよ私の血肉となって 指の先から滴る汁を赤子のように貪る口付け 真っ赤な舌を絡ませて 貴方の涎を余さずに 渇きを潤したいならば 悶える貴方の躯を感じ 真っ赤な証に吸い付きましょう 貴方の確な命の味を 私の命に絡めて絞めて 薄皮の内に流れる愛は きっととっても熱いのでしょう 貴方の真っ赤なシャワーを浴びる 温もりが肌に弾けて薫る 鉄の臭いが染み付いた 髪を赤く染めようかしら 私は大好き貴方の御顔 喜怒哀楽がコロコロ移る 哀の感情愛に変えましょ 雄雌本能私の本能 本当は愛しかいらないわ 恍惚の顔で愛を感じる 歪んだ顔で愛を感じる 生まれた時は泣いたよね 輝き瞬(またた)き生命(いのち)の神秘 必然自然の摂理に叶う 再び瞬く生命(せいめい)真理 貴方の鳴き声私にちょーだい(はぁと) 貴方の鳴き声必ず輝く 歓喜の声は艶(つややか)病み付き 一回再生もったいないわ たくさん再生してくれないの 耳を増やそう削ぎ取って さすれば貴方の響が増える 貴方の分まで私に聴こえる 私だけしか聴こえない 愛した人しか聴こえない 私の貴方が私のモノ 引きずり出した貴方の臓物(はらわた) 引きずる腸を私に絡める 生暖かい巻き付く感触 私が胸が痛いから 心の臓俯を取りだし取り込む 貴方の白濁液体溢した 床舐め這いずるぺろぺろちろちろ 貴方と同化したいから 脳内我慢が金切り声上げ 毎朝毎晩爪掻き毟った 飛び散る手足さえいとおしい 籠の中の鳥はいついつ気付く 好き好き大好き愛してるっ コラボ作品保管庫へ
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『絵のココロ』 雪華綺晶は、ゴールデンウィークの連休を利用して、別荘を訪れていた。 ただ、趣味のためだけに。 普段は忙しくて、なかなか打ち込むことが出来ない、彼女の趣味。 それは、油絵を描くことだった。 別荘のベランダからの眺望は、絶景の一言に尽きる。 緑豊かな森と、山々の懐に抱かれた、小さな湖。 彼女は、小さな頃から、この景色が大好きだった。 「さて、と。少し休んだら、デッサンに行きましょう」 部屋の隅に荷物を置いて、スケッチブックとペンケースを取り出す。 ペンケースの中には、様々な芯の鉛筆が収められている。 どの芯も、先が鋭く削られていた。 「今日は、湖の畔まで歩いてみようかしら」 ベランダ越しに、煌めく水面を見遣る。 すると、湖の岸辺に、小さな人影が見えた。 遠い上に、陽光の反射で良く判らないけれど、髪の長さから女の子らしいと見当が付いた。 その子は、膝くらいまで湖に入り、立っている。 はしゃぐでもなく、動き回るでもなく……。 ただ、その場に立つ尽くすのみだった。 あの子は、何をしているのかしら? 雪華綺晶は、興味をそそられた。不思議な魅力を感じた。 そして気付けば、スケッチブックを広げて、さらさらと湖に立つ少女を描いていた。 ラフスケッチながら、なかなかの出来映え。 これを元にして、後でキャンバスに描いてみましょう。 会心の笑みを浮かべながら、もう一度、湖に目を向ける雪華綺晶。 けれど、そこにはもう、あの少女の姿は無かった。 「近所の子供かも、知れませんわね」 だったら、その内に、また会える。 今度は、近くで描かせて貰おう。心の底から、そう思った。 湖の畔まで、散歩がてらの二十分。 意外に、歩き出がある。五月の陽気でも、全身、汗でびっしょりだった。 イーゼルやキャンバスを担いで来るには、少しばかりキツい。 スケッチブックで顔を扇ぎつつ、周囲を見回すと、お誂え向きの場所を見付けた。 木陰のベンチ。しかも、周りに人は居ない。 雪華綺晶は、そそくさとベンチに座って、眼前に広がる光景にココロを解き放った。 ――風のそよぐ音。揺れる木立のざわめき。 ――波立つ水面が、岸辺でちゃぷちゃぷと砕ける音。 有りとあらゆる自然現象が、雪華綺晶の創作意欲を掻き立ててくれる。 スケッチブックに、鉛筆を走らせる。 時折、目の前の風景に目を遣り、再びデッサンに勤しむ。 そんな事を、どのくらい続けていただろうか。 「お姉ちゃん……絵……上手だね」 いきなり背後から声を掛けられ、雪華綺晶は胸から心臓が飛び出すくらい驚いた。 振り返ると、薄紫のドレスを着た女の子が、木にもたれかかっていた。 右眼には、お洒落なデザインの眼帯。 近くで、仮装パーティーでも有ったのかしら? にしては、何処かで会ったような……無いような。 雪華綺晶は既視感を覚えて、少女をじろじろと眺め回していた。 「…………失礼じゃない?」 徐に言われて、雪華綺晶は我に返った。確かに、失礼だ。 初対面の人を観察してしまうなんて。 「ごめんなさい。悪気は無かったのよ」 「…………」 「ただ、以前にも、お会いしてたかしら……と」 雪華綺晶が告げると、少女はくすくす……と笑った。 「会ったこと……ある……かもね」 「貴女、お名前は?」 「……薔薇……水晶」 薔薇水晶? 口の中で、何度か呟いてみる。 記憶を辿っても、そんな名前の子は知らなかった。 そもそも、目の前の少女は、どう見ても小学生高学年から中学生くらい。 その年齢の子に、知り合いは居なかった。 (本当に、以前に会っているのでしょうか?) 雪華綺晶の戸惑いを、表情から読み取ったのだろう。 目を細めて笑った薔薇水晶は、雪華綺晶の手にあるスケッチブックを指差した。 「さっき…………描いてくれてたでしょ」 「え? ……ああっ!」 『さっき』というキーワードを得て、雪華綺晶はスケッチブックを手繰った。 別荘の部屋から、衝動的に描いてしまったラフスケッチ。 あの時は、後ろ姿しか描いていない。 けれど、改めて見直してみると、確かに少女のドレスと、絵の中の少女の服は似ていた。 「私がスケッチしていた事が、分かったと言うの?」 そんな筈はない。だって、湖畔から別荘まで、徒歩で二十分もかかるのだもの。 それだけの距離が、隔たっているのに……。 雪華綺晶の戸惑いを余所に、薔薇水晶は、にこにこと無邪気に笑っていた。 「ねえ、お姉ちゃん。もっと……私の絵……描いて?」 「え、ええ。良いですわよ、勿論」 薔薇水晶に促されるまま、雪華綺晶はスケッチブックに、少女の似顔絵を描いた。 柔らかそうな髪、なだらかな頬のライン。 髪飾りの紫水晶と、洒落た眼帯は、いいアクセントになる。 しかし……。 不思議なことに、彼女の右眼を描くことに、強い抵抗を覚えた。 画竜点睛ではないけれど、これでは完成しない。 さんざん迷った挙げ句、雪華綺晶は少女の右眼を、閉じた状態で描いた。 「はい、出来ましたわ」 「どれどれ……わぁ……上手上手」 「お粗末様ですわ。でも、喜んで頂けたなら、描いた意味がありましたわね」 「ねぇねぇ……今度は……もう少し、大人っぽく描いてみて?」 ――大人っぽく? また、おかしな注文が付いたものですね。 おそらく、少女が抱く、大人の女性への憧れを具体化して欲しいのだろう。 雪華綺晶は「そうですわねぇ」と微笑しながら、少女の成長した姿を想像した。 女子高生の薔薇水晶。髪は、長いまま。面差しを、今よりも細めに描く。 そこで、初めて気が付いた。この娘……将来、スッゴイ美人になる。 けれども、いざ完成の段になると、やはり右眼を描くことに抵抗を感じた。 何故なのだろう? 今まで、人物画は何枚も描いてきた。 しかし、一度だって、こんな気持ちになった事など無かった。 結局、この絵も右眼を閉ざした笑顔にして、描き上げた。 「はい、おまちどおさま」 「わぁい。スゴイスゴイ……カッコイイなぁ」 薔薇水晶は、大人になった自分の絵を見て、夢見がちな目になった。 雪華綺晶には、薔薇水晶の気持ちが解った。 自分にも、同じような時期があったから。 将来の自分に、根拠のない妄想を重ね、勝手に憧れて……自己嫌悪に陥ったり。 「でも、どうして、目が閉じてるの?」 「その方が、可愛らしいからですわ」 ――ごめんなさい。嘘つきました。 本当は、描きたくなかったからだ。今日は、どうしてしまったのだろう。 もしかしたら、旅の疲れが出たのかも知れない。 「お姉ちゃん……もっと、描いて?」 「ごめんなさい、薔薇水晶ちゃん。今日はもう、疲れてしまったの。 明日で、構わないでしょうか?」 「しょうがないなぁ…………じゃあ、明日ね? それと、私を呼ぶ時は、 薔薇しぃ――で良いから」 「え、ええ。それじゃあ、薔薇しぃ。また、明日ね」 別れの挨拶を交わすと、薔薇水晶は脱兎の如く駆け出し、木陰に消えた。 本当に、不思議な少女だ。 彼女をモデルに絵を描くのも、決して厭ではなかった。 ただ一点――眼を描き入れたくない事を除けば。 「明日も……来てくれるのでしょうか?」 東の空が、白々と明るみ始めた早朝。 山奥の清々しい空気を満喫しながら、雪華綺晶は別荘のベランダで、軽い食事を摂っていた。 とても優雅で、贅沢な気分だ。 「今日も、納得のいく絵が描けたら良いですわね」 良い絵が描けるとき……。 それは、大概、今朝のように寝覚めが良く、気分がスッキリと優れている時だ。 雪華綺晶は、昨日の少女、薔薇水晶に想いを巡らした。 今日は、あの子の眼を描き込んであげられるだろうか? 昨夜は疲れからか、スケッチを見直す間もなく、眠りに就いてしまった。 スケッチブックに手を伸ばした雪華綺晶は、湖の湖畔に立つ人影に気付いて、視線を向けた。 「……薔薇しぃちゃん?」 薔薇水晶は、昨日と同じように、湖に足を浸して立っていた。 違いを挙げれば、今朝は、こちらを向いている――と言うこと。 「随分と早起きなのね、あの子」 素早く身支度を整え、雪華綺晶はキャノンデールのマウンテンバイクに跨ると、 まっしぐらに湖畔を目指した。 雪華綺晶が湖畔に着くと、昨日のベンチに、薔薇水晶が座っていた。 けれど、その姿は小学生ではなく、自分と同い年くらいに成長していた。 一瞬、別人かと思ったほどだ。 「おはよう…………お姉ちゃん」 「薔薇しぃ、貴女……何故、大きくなっているの?」 「お姉ちゃんが……描いてくれたから……お姉ちゃんのお陰」 「わたしの、お陰?」 狐に摘まれた様な顔をする雪華綺晶に、薔薇水晶は突拍子もない事を語り始めた。 「私は……この湖の……精霊だよ」 「……はい?!」 「信じなくても良いよ。でも……ホントのことだから」 「わ、解りましたわ。とりあえず、続けて下さいな」 落ち着いて返事をしたつもりだったが、雪華綺晶の声は、緊張で戦慄いていた。 なにを怖がっているのだろう。こんな事、有り得るはずがないのに。 そんな彼女を和ますように、薔薇水晶は湖の水面の如く穏やかな笑みを浮かべた。 「私は……もうすぐ消えるの」 そう前置いて、薔薇水晶は、つらつらと身の上を話し続けた。 人々の信仰心が薄れるにつれて、力を失い、実体化が難しくなったこと。 もうすぐ消えゆく運命だと悟って、せめて自分の存在した証を残したかったこと。 絵を描いてくれる人を、一日千秋の想いで、ずっと待ち続けたこと。 でも、誰も自分の存在に気付いてくれなかったこと。 「だからね……お姉ちゃんが気付いてくれて…… 私を描いてくれた時は、とっても嬉しかったんだよ♪」 言って、薔薇水晶は満面の笑みを、雪華綺晶に向けた。 彼女の瞳が、潤んでいるのが分かった。 ベンチから立ち上がって、薔薇水晶は両腕を広げ、雪華綺晶の前で、くるりと回って見せた。 「ねぇ……あと一枚だけ……私を描いてくれない? 私が、消えてしまう前に……。あと……一枚だけ」 「……喜んで……描いて差し上げますわ」 知らず知らずの内に、雪華綺晶は涙を流していた。 これでは描けない。しっかりするのよ、私。 雪華綺晶はハンカチで目元を拭い、ベンチに腰掛けて、深呼吸を繰り返した。 スケッチブックを開いて、意識を集中する。 一期一会……この出会いを描く為に、全身全霊を注ぐ。 薔薇水晶は愉しそうに笑いながら、膝まで湖に入って、はしゃいでいる。 無邪気な笑顔。 その一瞬を、雪華綺晶は切り取って、スケッチブックの中に貼り付けた。 そして最後に、描けなかった想いを―― 薔薇水晶の右眼を、しっかりと描き込んだ。 「出来ましたわ……薔薇しぃ」 雪華綺晶の絵を、薔薇水晶は穴が開くほど、じっくりと見詰めた。 そして、満足そうに、ニッコリと笑った。 「ありがとう。すごく、ステキ」 薔薇水晶の頬を、水晶の様な雫が、ぽろりぽろりと滑り落ちる。 「貴女の絵には……ココロが宿ってる。それは、とても素敵なことよ」 「そんなに褒めても、なにも出ませんわ」 そう応じた雪華綺晶の瞳からも、宝石を想わせる涙が、溢れては落ちた。 「お姉ちゃん……本当に…………ありがとうね。 私、これで…………何も思い残すことなく、消えてしまえるよ」 「……」 「そんな顔、しないで。私が消えてしまう事は、なにも気にしなくていいの。 それが、時代の移り変わりと言うものだから……誰のせいでもないの」 「だけど……薔薇しぃが……」 「私に会いたくなったら、その絵を見れば良いのよ。 言ったでしょう? 貴女の絵にはココロが宿る……って。 私はここで消えるけれど、ココロはいつも、貴女と共にあるから」 山間から、やっと朝日が射してきた。 眩い光の中に、薔薇水晶の姿が薄れ、溶けて行く。 「お姉ちゃん、ありがとう…………さようなら」 「薔薇しぃっ!」 薔薇水晶は、微笑みだけを残して、消えてしまった。 別荘から自宅に帰り着くなり、雪華綺晶はキャンバスに向かい、一心に絵を描き始めた。 タイトルは 『湖に戯れる乙女』 薔薇水晶が存在した証を、みんなに教えるために、ひたすら絵筆を走らせ続けた。 朝が昼になり、夜が訪れ、再び、東の空に太陽が昇る頃―― 雪華綺晶は、キャンバスの左下に、自分のサインを描き入れた。 絵の中の薔薇水晶は、温かい眼差しをしている。 「……出来た。これで、貴女のことを、みんなが忘れずにいてくれますわ」 緊張の糸が切れて、雪華綺晶は急激に、身体の重さを感じた。 旅疲れに加えて、久しぶりに徹夜までしたので、酷く眠い。 雪華綺晶はベッドに倒れ込むと、直ぐに寝息を立て始めた。 ――ふと、誰かに揺り起こされる感覚。 誰? 申し訳ないけれど、今は眠っていたいの。 一度は気付かないフリをしたが、二度、三度と揺すられて、彼女は諦めた。 誰なの? この時間、両親は家に居ない筈なのに……。 雪華綺晶が瞼を開くと、そこには絵の中の娘が、にこにこと微笑みながら立っていた。 「えへへ……なんか解らないけど……戻ってきちゃった」 「ば……ら……」 「素敵な絵だね。色が着くと、尚更――」 「薔薇水晶っ!」 雪華綺晶は、薔薇水晶にしがみついて、誰憚ることなく嗚咽を漏らした。 そんな彼女の身体を、薔薇水晶も、しっかりと抱き締めるのだった。 「もしかしたら、お姉ちゃんの絵が、私を呼び戻してくれたのかもね」 「どうでも良いですわ、理由なんて! 貴女が戻ってくれさえすれば、私は、それだけで嬉しいのですから」 「そっか……そうだよね。ありがとう」 抱き合って、再会を喜び合う最中、雪華綺晶は薔薇水晶に訊ねた。 「これから、どうするの?」 「分かんない。何をすべきか……どうすれば、良いのか」 「そう。じゃあ……私の妹にならない?」 突拍子もない提案だという事は、雪華綺晶とて承知している。 しかし、折角また巡り会えた彼女を、厄介払いする気にはなれなかった。 「私の妹として暮らして……一緒の学校に通って……いろいろな事を学べば良い。 これからの事は、ゆっくりと決めれば良いのですわ。 焦る必要なんて、無いのですから」 「そうね。それじゃあ……お願いします、お姉ちゃん」 「はいはい。あ、でも、お父様とお母様には、どう伝えれば良いのでしょうか」 「それなら、任せて。精霊の力は、伊達じゃない」 夏休みが終わって、二学期が始まる頃。 教室で、担任が、転校生の女の子を紹介していた。 転校生の美貌に、男子生徒ばかりか、女子生徒まで驚嘆の声を上げている。 ただ一人、雪華綺晶だけは、鼻高々に教壇に立つ女の子を見詰めていた。 ――彼女の名前は、薔薇水晶。 私、雪華綺晶の、大切な妹ですわ。 その声が聞こえたのかと思えるタイミングで、薔薇水晶も、ニコッと微笑した。
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「今日も素晴らしい日なのでいつもどおりに練習しようとしたら雛苺の代わりに雪華綺晶が来ていた件」 Story ID g4i+0GF2O 氏(142nd take) 金糸雀「あれ? 雛苺は何処かしら?」 雪華「食べてしまいました」 金糸雀「性的な意味で?」 雪華「そのまんまの意味で」 「金糸雀と薔薇水晶はとあるクイズ番組にゲスト出演した。」 Story ID //3TpRwF0 氏(143rd take) 司会「では一般常識問題です、イギリスの首都はロンドン、では フランスの首都は?」 カナ「もちろんヨーロッパかしらぁぁぁああ!!」 司会「で、では、今話題の宮崎県の知事は誰でしょう?」 薔薇「……そのまんま車」 司会「……(こ、この2人は…) 「ギター初心者からすればFは未知の領域、選ばれし人間の世界なんだろうな。俺はコードなんざ殆ど押さえらんないけど」 Story ID //3TpRwF0 氏(143rd take) 薔薇「銀ちゃん…どう頑張ってもFが押さえらんない…」 水銀燈「おばかさぁん、ちょっと手首を捻れb…痛っ…」 薔薇「手首捻っちゃった?」 水銀燈「私ってばおばかさぁん…」 薔薇「年には勝てない…か」 水銀燈「(#^ω^)ビキビキアグレッシヴ」 「哀 戦士」 Story ID VIgifWIrO 氏(144th take) 薔薇「哀 戦士って名曲だよね」 水銀燈「確かにねぇ、でも、カヴァーしないわよぉ」 薔薇「そんな…」 「CHAOS MUSIC」 Story ID 1cdfNDX8O 氏(145th take) ギュイィィィン デケデケ カシラー バリバリゴキュゴキュゴリンゴリン 水銀燈「…あれ?」 「アルバムの新曲について」 Story ID 1cdfNDX8O 氏(145th take) 蒼星石「アルバム用の新曲って何かあるかなぁ…」 真紅「こんなのはどう?」 Psychedelic goa trance AjmTg.dNTgA KiRA-KEY vs Rozen Maiden 蒼星石「却下」 真紅「何故?」 蒼星石「まず曲名が文字化けみたい。それにゴアトランスじゃあロック関係ないじゃないか」 真紅「そこからこう繋げる予定だったのよ」 Psychedelic metal Boon Boon HORIZON Rozen Maiden feat. KiRA-KEY PROGRESSIVE HARD METAL Bara 音 ME Rozen Maiden+ 蒼星石「( ^ω^)ブーン」 (無題) Story ID cfxiA8C00 氏(145th take) 雛「今日アルバイト先で変な人がきたの~」 銀「変な人ぉ~?」 雛「一人で店を貸しきりでウロウロしてたの~」 銀「なぁにそれ~?あなたはどこでバイトしてるのぉ?」 雛「ビックカメラなの~」 銀「それ、マイケルじゃ……」 「実は弐寺の宣伝も兼ねている件」 Story ID Q6K38VH1O 氏(145th take) ファースターイッ! サッブストリィームッ! セカンスターイッ! サードスターイッ! フォーススターイッ! フィフススターイッ! シックススターイッ! セブンススターイッ! エイススターイッ! ナインススターイッ! テンススターイッ! ギュンギュンギュギュンギューンギュン~ ギュギュンギュンギュンギュギュンギュンギュン 水銀燈「と、言う事で次回のライヴは19世紀…ゴールドラッシュがテーマよぉ…」 薔薇乙女「Let s enjoy! GOLD RUSH」 (無題) Story ID in0oiWzS0 氏(146th take) 翠「蒼星石!また翠星石のドラムの配置変えやがったですか!」 蒼「いや、だって絶対変えるなって何度も言われたから……」 翠「じゃあ配置変えたドラムをバックに翠星石のパンツを被った自分を撮ってたのは何のつもりです!?」 蒼「急にそういう安価が来たから……」 翠「変えるなって言われたから変えた!? アンカとやらが来たから頭悪い格好した自分を撮ってた!? 訳分かんねぇことほざいてんじゃねぇです!」 蒼「落ち着きなよ、まだ慌てる時間じゃないよ」 翠「きいぃー!!」 薔「……VIP臭ぇ」 (無題) Story ID GmiUt0X00 氏(147th take) 金「ジブリから声の仕事の依頼が来たかしらー」 銀「出ないわよ」 翠「テーマソングならまだしも声とかありえねぇです」 蒼「僕らはロッカーだからね」 雛「自分として叫ぶならまだしも誰かになって、なんて出来る道理がないのよ」 薔「ジブリ……きらーい……」 金「うぅ、勿体無いけど仕方ないかしら……」 紅(……過去にエロゲに出たことがあるなんて絶対言えない空気なのだわ……!) 「薔薇乙女定例会議にて」 Story ID OMnjG/pG0 氏(147th take) 蒼「―――だから今回のアルバムのコンセプトについてだけど」 翠「やっぱロック街道一直線がいいですよ~~」 銀「悪くはないけどぉ……それじゃあ前と一緒じゃない。ねぇばらしー」 薔「うん……今回はプログとぉるるるるるるるるるるるるるるるるるるるんっ」 全「「「「!!!???」」」」」 薔「あっ、えと、そのとぅるるるるるるるるるるるん。 これは、ちがとおるるるるるるるるるるん。るんるん♪」 口を両手で押さえてその場から駆け出す薔薇水晶 翠「……まぁ、薔薇水晶の奇行は今に始まったことじゃあねーですけど」 真「後でいい病院を紹介するわ」 人気のないところまで来ておもむろに電話の子機(線繋がってない)を取り出す 薔「雪華綺晶ってばーーっ。連絡は人のいないとこでってあれほど言ったじゃない! また銀ちゃんたちに変人って思われちゃったよお~~。うう……」 雪「あら、いいじゃない♪元からヘンタイなんだし。 それよりねー、最っ高のフレーズが思いついちゃったのよ。聴いて聴いて♪」 薔「あっ、ちょっと待って今レコーダー出すかrララララァーーー」 薔薇水晶のもうひとつの人格「雪華綺晶」 影の名コンポーザーである彼女はこんな感じで薔薇水晶とともに 作曲活動に協力(嫌がらせ) にいそしんでいるのでした……… 「ジョジョの奇妙な冒険の登場人物並びにスタンドはほとんど洋楽のアーティスト」 Story ID 91xg/w4+O 氏(147th take) 蒼星石「なんだよね」 雛苺「つまり、キング・クリムゾン好きは時間を吹っ飛ばす事が出来るのね」 蒼星石「まさかぁ」 ドドドドドドドドドド 雛苺「キング・クリムゾン! 我以外の時間を吹き飛ばせ!」 蒼星石(ジョジョ厨ウザスwwwwwwwwwww) (無題) Story ID GmiUt0X00 氏(147th take) 雛「いっただっきまーすなのー♪」 つ【ラーメン】 つ【ハンバーグ】 つ【カツサンド】 つ【カツカレー】 つ【苺パフェ】 つ【プリンアラモード】 蒼「あんまり食べて太ったりしないでよ? 雛苺の歌い方は体力がいるんだから『太って体力落ちて歌えません』 とか言ってたらクビになっちゃうかもしれないよ?」 雛「雛、毎日このくらい食べてるけどあんまり変わってないのよ?」 蒼「あんまり?」 雛「……ちょっとずつ増えてるけど……本当にちょっぴりなのよ!」 蒼「前に3サイズ測ったときは何cmだった?」 雛「89・54・82」 蒼「ちょっと測らせてもらうよ」 雛「ひゃうん!」 蒼「……」 雛「やぁ……」 蒼「……93・55・85」 雛「ね?ちょっぴりなのよ」 紅(デブれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!) 「147th takeのスレタイはデスノート2期オープニング」 Story ID PVCC5kDk0 氏(147th take) 「スレタイの”What s Up, People!?”だけど」 「今、アニメ”デスノート”の主題歌になってるですぅ」 「それが僕は実に納得がいかないッ!」 「な、なんですかいきなり」 「この曲が入ってるシングルのタイトルを知っているかい?」 「え、ええと、”ざわ・・・ざわ・・・ざ・・ざわ・・・・・・ざわ”……なんですかこれは」 「これはね、漫画家・福本伸行氏の作品によく使われる擬態語なんだ。 そして、この曲”What s Up, People!?”の歌詞……書くとJ○S○ACが来るから書かないでおくけど――カモン雛苺」 「ヴォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」 「そこじゃない、サビの所を歌ってみて……さぁ翠星石、どう聞こえる?」 「……”わ・・・ざわ・・・ざ・・・”……聞こえないこともないですね」 「そう、まさにこの曲はそれを狙って作られた、福本伸行氏に捧げた曲なんだ。 だから同じシングルに”アカギ”が収録されているのはわかる、スゲーよくわかる…… アカギは福本伸行作品だからな…… だが”デスノートの主題歌”ってのはどういう事だああ~っ!? 福本伸行がいつデスノートを描いたっつーのよーッ!クソッ!クソッ!ナメやがって蝶イラつくぜぇ~ッ!!」 「ちょ、落ち着くです蒼星石、自分も色々混ざってるですよッ」 「薔薇乙女が お し え て あ げ る ♡」 Story ID VDkxb3D80 氏(147th take) 水銀燈、翠星石 蒼星石のドイツ語(BGMはハロウィン) 真紅の英語(BGMはU2) 雛苺のフランス語(BGMはクレモンティーヌ) 金糸雀のイタリア語(BGMはブラームス・ヴァイオリンソナタ第2番) 薔薇水晶の古代ヘブライ語(BGMはエクソシストの曲) どれを選択しますか? 「4:33のロック調アレンジ聴いてみたいなっていう、でっていう」 Story ID iIhSEIvv0 氏(147th take) 薔「4:33を、演奏したいのです……が……」 翠「とっとと帰ってクソして寝ろです」 薔「……くすん」 蒼「翠星石、口が悪いよ。薔薇水晶、どうして4:33を演奏したいと?」 薔「上手く言えませんが……ただの4:33では、なく……全ての音を混ぜた、4:33を……」 翠「全ての音(笑) 音入ってる時点で4:33じゃねぇです」 蒼「翠星石、ちょっと黙ってて」 翠「……くすん」 薔「無音の対極を……4:33間、響かせ続ければ…… 新しい音楽を、作れそうな気が……するのです」 蒼「つまり、とてつもなく煩い4:33を、ってことかい?」 薔「……はい」 翠「だからそんなの4:33じゃねぇです」 蒼「でも、面白そうじゃない?」 翠「……まぁ、面白そうではありますが」 蒼「じゃあやってみようよ。薔薇水晶、皆を呼んできて」 薔「……はい」 短編SS保管庫へ